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ネタバレ [映画]

町山智浩がシャマラン監督最新作のネタバレをしたと炎上…ネタバレを過剰に責める風潮は「批評の自由」を奪う!|LITERA/リテラ

文学研究者はみなネタバレを前提にしており、結末を明かさないなどという作法とは無縁である。

一方、映画評論家は、宣伝マンと研究者の中間くらいのポジションなので、関係者と観客の両方が納得するような地点を見極めるのは難しいようだ。

ジェイムズ・キャメロン監督、『タイタニック』(1997年) [映画]

タイタニック (1997年の映画) - Wikipedia

授業でシナリオを読んでいるので、予習しながら見ています。

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タイタニック号の内部では、蒸気機関を動かす火夫(かまたき)が頑張っていた。

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これは例の有名なシーンの伏線。

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タイタニック号の後ろ姿。人間の手で作られた動くのものの中で最大のものとのこと。

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アイルランド人の青年が、タイタニック号を15000人のアイルランド人が作ったという話をしているところ。

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ジャック・ドーソン(レオナルド・ディカプリオ)が船尾から飛び降り自殺をしようとしているローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)を救う場面。いっしょに飛び込むのは水が冷たくて辛いだろうなと言って説得する場面。これもラストシーンの伏線になっている。


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ケン・アナキン監督、『バルジ大作戦』(1965年) [映画]

バルジ大作戦 - Wikipedia



第二次世界大戦末期のバルジの戦いを描いた作品。実際の戦いとはだいぶ違っているらしい。ロケ地もスペインだし、撮影に使われている戦車も別物。偶発的に起こった「マルメディの虐殺」も計画的なものとして描かれているし、その他のエピソードもフィクションばかりとのこと。だが戦車隊の激闘が見ものだし、ストーリーは漫画みたいでけっこう面白い。

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戦車隊を指揮するヘスラー大佐を演じるのは『サブウェイ・パニック』(1974年)のロバート・ショウ。

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アンレーブ陥落。

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ヘンリー・フォンダ扮するカイリー中佐の乗る偵察機が、霧の中で進軍する戦車隊を発見し、本部に報告した直後、撃ち落とされてしまう。

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ヘスラーは部下に、戦争のために戦争をしているだけだと見抜かれる。国民を守るための戦いではなく、国民を兵士にするための戦争だと。ヘスラー大佐の言動は安倍総理を彷彿とさせて、背筋が凍る。

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最後は、アメリカ軍の燃料を奪いにやってきたヘスラーらをヘンリー・フォンダたちが撃破して、めでたしめでたし。

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佐藤純彌監督、『君よ憤怒の河を渉れ』(1976年) [映画]

君よ憤怒の河を渉れ - Wikipedia

杜丘冬人(高倉健)は、ある日突然、身に覚えがない強盗傷害事件の容疑者にされてしまう。だが、東京地方検察庁刑事部検事として働く杜丘(もりおか)は、自ら冤罪を晴らすために、事件の黒幕を探し出す旅に出る。彼は、ある代議士の自殺を他殺ではないかと疑っていた。それがこの事件の鍵を握っていることが次第にわかってくる。実は、真相解明を恐れた事件の黒幕が裏で手を回し、杜丘を犯罪者に仕立てようとしていたのだ。

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事件の真相を解明しようとして北海道に飛んだ杜丘は森の中でくまに襲われそうになっている遠波真由美(中野良子)を救い、恋仲になる。彼女の父親は、本州に戻って事件を秘密裏に操作しようとする杜丘にセスナ機を与え、操縦方法を教えてやる。

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杜丘を追う警視庁捜査第一課・矢村警部(原田芳雄)と杜丘の上司である検事正の池部良。二人は、当初事件の黒幕と関係があるのではないかと思わせる演出になっているのだが、実際は何の関係もない。

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杜丘逮捕の直接のきっかけになった男(田中邦衛)が精神病院に入っていることを突き止め、自らも精神分裂病患者に偽装し、入院する。だが、事件の黒幕と深い関係にある院長によって、杜丘は自分で考える力を奪う薬を飲まされ、自殺を強要される。

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杜丘は面会に訪れた真由美(中野良子)に薬の効き目を無効にするために飲んでいた下剤を渡し、自分の状況を伝える。真由美は矢村警部(原田芳雄)にその薬の分析を依頼し、それをきっかけに、一気に事件が解決に向かう。

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杜丘は、この大胆な潜入捜査によって、事件の黒幕が代議士の長岡了介(西村晃)だったことを突き止める。

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そして、最後に、杜丘は矢村警部(原田芳雄)たちとともに長岡了介(西村晃)の自宅に乗り込み、長岡を自らの手で射殺するのだ。

杜丘の口から発せられる「追われる立場になっても、追う立場にはなりたくない」や、「法律のみで人を裁くことはできないのではないか」というセリフが印象に残る作品として記憶されているようだが、取ってつけたようなセリフなので、私にはいまひとつピンとこなかった。

ラストのリンチ(私刑)のシーンは、クリント・イーストウッドのダーティーハリーシリーズを髣髴とさせるところがあるが、むしろ、高倉健と池部良のコンビのマキノ雅弘監督作品『昭和残侠伝 死んで貰います』(1970年)を意識しているのかもしれない。

この作品は中国において最初に公開された日本映画ということで大ヒットしたという。しかも、冤罪が氾濫していた時代の中国人にとっては、自分のことにように思われたのかもしれない。身に覚えがない罪で犯罪者扱いにされるという話は、もはや対岸の火事ではない。民主主義を破壊し、立憲君主制を復活させ、日本を全体主義国へと変貌させることを追求する安倍政権が復活させようとする「共謀罪」を考慮に入れると、北朝鮮の金正恩政権に近似した安倍政権を打倒することが喫緊の課題のように思われる。


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エイドリアン・ライン監督、『フラッシュダンス』(1983年) [映画]

フラッシュダンス - Wikipedia

映像としては、MTVのような撮影方法を駆使しているところが斬新なのだけれど、物語としてはあまりに陳腐。

主人公のアレックス(ジェニファー・ビールス)はバレエダンサー志望で、昼は製鉄所で溶接のアルバイト、夜はバーでダンサーのアルバイトをしている。ある晩、たまたま製鉄所のボスであるニックがバーを訪れ、アレックスに一目惚れ。それから彼女に猛アタックをし、ある事件をきっかけに二人は交際を始める。ニックはアレックスの夢を叶えてやろうと、自分のコネを使って、バレエの学校の書類選考を通過させてやる。だが、ニックが自分のために手を回したことに怒りを覚えたアレックスは、一度夢を諦めてしまう。しかし、周囲の人々の励ましや、恩人の死などによって、アレックスは立ち直り、自らの力で実技試験に合格し、入学を許可される。この縦筋に、いろいろどうでもいいエピソードが挟まされるというストーリーになっている。

ジェニファー・ビールス扮するアレックスの態度や考えが最後まで子供っぽく見えてしまって、なかなか共感するところまで行かなかった。


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Sunny Johnson - Wikipedia

アレックスの友人のジェニーを演じたサニー・ジョンソンは、この映画の公開の翌年に30歳で亡くなっている。ジェニーはプロのスケーターを目指すが挫折してストリッパーになってしまうという夢が叶わない側の役柄だ。彼女は、友人とシェアしていた部屋で意識のない状態で発見され、その後、回復の見込みがない脳死と診断され、家族が安楽死を受け入れたとのこと。現実でも夢が叶わなかったというのは、実に悲しい話である。

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ブライアン・ヘルゲランド監督、『42 〜世界を変えた男〜』(2013年) [映画]

42 〜世界を変えた男〜 - Wikipedia

これはメイジャーリーグ初の黒人選手であるジャッキー・ロビンソンの壮絶な戦いを描いた作品である。物語はわかりやすい。主人公が周囲の人々に協力を得ながら、困難を乗り越え、そして周囲の人々を変えていくというものだ。ちなみに、タイトルにもある42という数字は彼の背番号で、永久欠番となっていることは非常に有名であり、野球に詳しくない私でも知っているほどだ。

黒人差別は南北戦争やインディアンの虐殺と並んでアメリカのトラウマの一つだ。NHKの朝ドラが太平洋戦争を執拗に描き続けるのと同じように、アメリカは黒人差別を形を変えながら描き続けている。

ストーリーはあまりに単純なので、ここではあらすじを追わず、肝となるセリフだけ集めてみた。

以下の3枚は、ブルックリン・ドジャースのGMであるブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)が、ジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)に向かって、まるでキリストのように戦えと訴えかけている場面だ。

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ドジャースの一員になったジャッキー・ロビンソンは、マウンドで敵の監督にさんざん罵倒され、心が折れそうになる。

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しかし、ブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は、彼に耐えるように求め続ける。愚かな白人と同じ土俵に乗ってしまえば、ジャッキー・ロビンソンの戦いに、人種差別からの解放への希望を見出している黒人たちを失望させることになってしまうからだ。ジャッキー・ロビンソンは、自分のためだけに戦っているのではなく、黒人たちやチームのメンバーのためにも戦っているのだとGMは諭す。

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敵チームの監督の吐く罵詈雑言のひどさに激高したチームメイトが食って掛かるシーン。肌の色は違えども、ともに戦うメンバーを罵倒するのは許せねえ、という態度が初めて示された瞬間である。

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罵倒や脅迫に耐えるジャッキー・ロビンソンの戦いに共感を覚えるようになったチームメイトたちが、彼の勇敢さを称え、彼を自分たちの仲間として認めるようになっていく。

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GMは、白人の中にも、ジャッキーに感化され、彼を崇拝する者が出てきている事実を伝えるシーン。

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なぜ、自分をドジャースに入れたのかというジャッキーの質問に、これまでお金のためだと答えていたGMは、人種差別に勝利するためだと格好良いことを言い出す。

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GMはジャッキーが再び野球を好きにさせてくれたから、彼を応援するのだと言って、ある思い出話をする。そこはネタバレになるから書かないでおく。

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余談になるが、私がオリンピックのような国別の大会を見るが大嫌いなのは、日本のメディアが日本の選手ばかり取り上げるからである。日本人なら、日本の選手に興味があり、日本人選手を応援するのが当たり前であるかのように報道されるのを見ていると、次第にムカムカしてくるのだ。私はそのスポーツの素晴らしさ、選手の技術の高さ、選手たちの持つ物語などを知りたいのだが、日本が勝ったとか、惜しくも負けてしまったとか、そんな話ばかりされると、どんどん醒めてきてしまうのだ。純粋にそのスポーツが好きな人は、国籍のみで、応援するかどうかを決めているわけではないはずだ。私みたいな物の見方をする人間がまるで存在していないかのようになっていることを思い知らされるから、私はスポーツ番組は見ないようにしているのである。



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黒沢清監督、『トウキョウソナタ』(2008年) [映画]

トウキョウソナタ - Wikipedia


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東京在住のある家族が父親のリストラによって、よりいっそうバラバラになる。父親は自分の権威を守るためと称して最後まで子どもたちにはその事実を明かさない。

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タニタの総務部長まで上り詰めた佐々木(香川照之)はある日突然解雇されてしまう。(たしかに、2008年頃 [安倍退陣後の福田、麻生の政権時代] というのはそういう時代だった。)家族にはその事実を打ち明けられないまま、毎朝仕事に行くふりをしながらハローワークに通う日々が続く。何度か通うちに46歳では新たに同じような職を見つけることはできないことを思い知らされる。

このシーンのサラリーマンはみな、自分が失業中であることを家族だけではなく、周囲の見知らぬ他人にも隠して暮らしているらしい。

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佐々木はホームレスのための炊き出しで、旧友の黒須(津田寛治)に再会。佐々木もまた数ヶ月もの間求職状態で、その事実を家族に打ち明けられないまま、仕事をしているふりをして生きていた。

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佐々木の家では、父親が食べ始めるまで、家族はじっとおあずけ状態を保つ習慣がある。佐々木は父親の権威を守るために、古い価値観を家族に押し付けている。しかし、佐々木はリストラの後、自分が守ろうとしている権威によって、逆に自分自身が押しつぶされそうになっている。

階段が家族の間に引かれた境界線を象徴している。また、子どもたちそれそれの部屋にも境界線が引かれ、親は勝手に越境してはいけない約束になっているらしい。4人とも心がまったく通じ合っておらず、それぞれが秘密を抱えて暮らしている。

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黒須は、自分が無職の身であることが家族にバレているかもしれないと感づき、わざわざ佐々木を家に呼び、夕食を振る舞い、妻子の前で上司と部下の会話を演じる。佐々木家とは違い、妻は夫の隣に座っている。(ちなみに、我が家は佐々木家と同じ配置だ。)この後しばらくして、黒須夫婦は一人娘を残して無理心中をしてしまう。ちなみに、黒須の娘は朝ドラの『花子とアン』や『まれ』でブレイクした土屋太鳳だ。もしかすると『トウキョウソナタ』が映画のデビュー作だったのかもしれない。

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自宅の玄関に入る前に、父親の顔を作ろうと腐心する佐々木。私もたまに佐々木と同じことをする。お父さんの哀愁を感じる。

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佐々木の妻(恵)を演じるのは小泉今日子。「誰か引っ張って」という彼女の心の叫びが夫の耳には届かないのが切ない。

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恵は、夫がホームレスの炊き出しに並んでいるところをたまたま目撃してしまう。しかし、恵は夫の権威を守るために、見て見ぬふりをして暮らし続ける。

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ショッピングセンターの清掃の仕事を得た佐々木は、ある日トイレで札束を拾う。

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そのままネコババしようとしたところで、佐々木はばったり恵に出くわす。

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ここで、佐々木が恵とショッピングセンターで偶然出会う3時間前に時間が遡る。実は、佐々木家に入った強盗(役所広司)によって、恵は誘拐されていたのだ。包丁を突き立てられながら、免許取りたての恵が運転させられるのは、数日前に彼女がディーラーで物色していたプジョー206CCというコンバーティブルだ。

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その後、恵は強盗に脅されながら、あてもなくクルマを走らせる。途中、ショッピングセンターでトイレに立ち寄らせてもらい、強盗の分まで食料を買い込む。そして、誰にも助けを求めることなく、そのままクルマに戻ろうとする。そのときに、恵は夫に出くわすのだ。そのとき夫は慌てて「違う、違う」と叫びながら走り去ってしまう。恵は何事もなかったかのように、強盗の待つ駐車場に戻りクルマに乗り込む。「こんなに遠いところまで来てしまったら、もう元には戻れない」と言って、二人で海までドライブを続ける。

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恵は、プジョー206CCの屋根を開放して走り出す。「屋根がない」状態は、自分を守ってくれる人が自分以外にはいないということを象徴している。これまで家庭に閉じ込められていた一介の主婦が、これによって生まれ変わることが予兆されている。

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行き着くところまで来てしまった二人。その後、番小屋で一晩過ごす。作品中、明確には描かれていないが、恵は強盗に体を許したらしい。強盗は罪に罪を重ねたことを後悔する。しかし、元職が鍵屋だった強盗によって、恵の心のドアが開いたのかもしれない。

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魔が差した佐々木は、札束をネコババし、自宅に向かって走って逃げている途中、自宅近くでクルマにはねられてしまう。彼は、朝、パッと目を覚まし、立ち上がって自宅に向かって歩き始める。

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月明かりの下で、恵はひとり海水に体を沈める。それぞれのシーンは、夫婦は二人とも一度死んで、ここから再生することが象徴されている。

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一方、次男の健二(井之脇海)は、家出をした友人に感化され、青森行の夜行バスに無賃乗車しようとする。しかし、警察に捕まり、留置場で一夜を過ごす。これもまた彼の再生になっている。ちなみに、井之脇海は、朝ドラの『ごちそうさん』で、主人公の杏の弟を演じていた俳優だ。

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翌朝、恵が小屋で目を覚ますと、強盗はクルマごと海に入って自殺をしていた。恵もまた何事もなかったかのように、強盗が物を散らかした家に戻ってくる。

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恵は、先に戻ってきていた次男にもことの一切を話さず、静かに朝食を摂る。そこへ、怪我をした父親が作業着をまとったまま帰ってくる。次男に「変な格好」と言われるが、彼もまた何事もなかったかのように、一緒にごはんを食べ始める。

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アメリカ軍の傭兵となった長男は戻ってこない。相変わらず、家族には会話らしい会話はない。

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佐々木は、朝食の後、職場のショッピングセンターに戻り、ネコババしようとしたお金を遺失物を入れるポストに入れ、いつもと同じように清掃の仕事をする。これによって、佐々木は自尊心を保とうとしたのかもしれない。

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ピアノの才能を突如開花させた次男は、数ヶ月後、音楽を専門に学ぶ私立中学の実技試験を受ける。そこでドビュッシーの「月の光」を情感たっぷりに奏で、大人たちに深い感動を与える。

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会話はないけれど、さまざまなつらい経験を経てきた家族には、言葉では伝わらない何かがしっかり伝わっているのを感じるエンディングだ。家族はバラバラだけれども、どこかで緩くつながっているようだ。

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演奏を終えた次男を両親がステージに迎えに行く。このシーンは、夫婦が次男の才能を認めることで、佐々木家が結束するかもしれないことを予兆している。

この作品は、個人的には、傑作だと思う。この作品を見たのは、実はこれが2度目だ。非常に細かい所に気を配った演出になっており、見返すたびに、気づかされるところがある。クルマの使い方もいいし、音楽の使い方もいい。香川博之や小泉今日子の演技も秀逸だし、二人が毎日同じ格好をしているのもいい。作品を見た後に、誰かとそれについてじっくり語り合いたくなることは実のところあまりないのだが、この作品は一晩中でも語り合いたくなる作品である。

あらすじに解説しなかったが、アメリカ軍の傭兵になった小柳友扮する佐々木家の長男の会話も興味深い。政治的なメッセージがなかなか深い。

小柳友は、「日本はアメリカ軍に守られているのだから、日本を守るためにはアメリカ軍に協力するしかない」と言ってアメリカに旅立つ。彼は、「お父さんは家族を守ると言っても何もしていないじゃないか」とか「世界中の人々を幸せにするために、俺は戦うんだよ」とか、若者らしいことを父親に向かって言い放つ。それに対して、失業中の父親は、「俺はそんなことは絶対に許さん。お前は日本でできることをしろ」と言い返すことしかできない。

長男のバイト先の友人の言葉もまた興味深い。「大地震が来ないかなあ。何もかもがめちゃくちゃになったら、俺が総理大臣になって、ノーヘルでバイクを運転できる法律を通すんだけどなあ」とか。この映画の公開から3年後に、東日本大震災に襲われるのだけれど、その後首相になったおぼっちゃまくんはノーヘルでバイクを運転できる法律を通すどころか、憲法解釈を大きく歪めて、丸腰の状態で自衛隊を激戦地に送り込みアメリカ軍の手伝いをさせ、さらに、戦前戦中の治安維持法のような「共謀罪」を復活させ、自分たちの思想に反する者を片っ端から政治犯として刑務所にぶち込む準備をしている。それを考慮に入れると、よりいっそう示唆的な作品に思えてくる。

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黒澤明監督、『夢』(1990年) [映画]

夢 (映画) - Wikipedia

8話からなるオムニバス映画。各エピソードは「こんな夢を見た」から始まるのだが、これは夏目漱石の『夢十夜』のもじり。ウィキペディアによれば、それぞれ、「日照り雨」「桃畑」「雪あらし」「トンネル」「鴉」「赤冨士」「鬼哭」「水車のある村」と名前があるようだ。しかし、作品中では、そのタイトルは表示されない。

この8つの作品に流れる一貫したメッセージは、「人間は自然と対立するものではない。人間は自然そのものであり、人間は自然に対して畏敬の念を持たねばならない。また自分たちの力を過信すれば悲劇が起こる」というものだ。ユダヤ・キリスト教文明では自然と人間は対立するものという前提があるが、黒澤明は日本の伝統的な価値観を踏襲している。

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「日照り雨」

狐の嫁入りを見てしまった少年が、母親に狐に謝ってこいと言われる夢。

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母親は倍賞美津子。

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自然は少年を暖かく受け入れてくれる。

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「桃畑」

伐採されてしまった桃の木を悲しむ少年が、桃の精霊に歓待される夢。

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「雪あらし」

過酷な自然と戦う登山隊のリーダー(寺尾聰)が雪女に殺されそうになる夢。

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「トンネル」

戦争で部下を犬死させたことを後悔する中尉(寺尾聰)が、トンネルの中にいる部下の亡霊たちに謝罪する夢。

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「鴉」

寺尾聰が、ゴッホ(マーチン・スコセッシ!)に会いに行く夢。目まぐるしく変化する自然を絵にするのに忙しいゴッホに、お前とは話す時間がないと追い返される。最後におびただしい数のカラスが飛び立つのだが、それと同時に現実世界に戻ってくるという夢。

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オーバーラッピングがちょっとくどい気がする。

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「赤冨士」

富士山の噴火によって、原子力発電所が爆発。放射性物質が狭い日本のいたるところに拡散され、「逃げてもしょうがないが、逃げなきゃしょうがない」と言って、逃げ惑う市民が次々に海に飛び込んで自殺してしまう。科学の力を過信した人間に猛省を促す夢だ。

井川比佐志は、原発関係者の役で、自分たちの愚かさを恥じる彼もまた責任を取って投身自殺してしまう。

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「鬼哭」

放射性物質を浴びたせいで鬼になってしまった人たちが住む地域に迷い込んだ人間(寺尾聰)が、鬼たちの苦しみを目の当たりにする夢。

鬼を演じるのは、いかりや長介。

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放射性物質によって、花は巨大化し、人間の頭には角が生えてしまっている。鬼の世界では、角の数の多さで階級が決まり、人間の時代からその階級は引き継がれているという。皮肉な設定である。

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孫悟空の頭の輪のような角によって、鬼たちは苦しめられ、慟哭する。

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「水車のある村」

寺尾聰は、時が止まったような不思議な村に迷い込む。そこは、放射能を免れた村なのかもしれない。村人たちは現代文明から隔絶した生活を送っている。寺尾聰は、村人たちの幸福な姿に感動する。

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死んだ初恋の相手の葬式で、愉快に踊る103歳の老人を演じるのは笠智衆だ。彼の熊本弁が、まるで宇宙人のようでいい。

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葬式を見届けた寺尾聰は川にかかった橋を渡ってこの村を去ろうとする。だが、野垂れ死んだ旅人に敬意を表するために、花を手向けに戻ってくる。そして、彼は再び橋を渡って村を去っていく。その時の彼は憑き物が落ちたかのように晴れ晴れとした気持ちで軽くスキップをする。その時、偶然かも知れないが、黄色い蝶が画面を横切る。その後、水中で揺らめく緑色の川藻をバックに、エンドロールになっていく。この象徴的なシーンに何を読み込むか、それは観客自身が考えるべきことだろう。

撮影された場所は長野県大王農場である。私も何年か前に行ったことがあるが、たしかに時が止まったような風景が広がっていた。

この映画が公開されてから暫くの間、どうして黒澤明はこんな作品を撮ったのかまったく理解できないという人が多かったように思う。いまだに黒澤作品の中では評価が非常に低い。しかし、3.11を経験した我々は今そんな低評価は下せないだろう。



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武内英樹監督『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』(2009年) [映画]

のだめカンタービレ 最終楽章 - Wikipedia

二ノ宮知子原作の漫画の実写化。

「のだめ」こと野田 恵(上野樹里)が恋い焦がれる先輩の千秋 真一(玉木宏)は、ウィーンで伝統あるオーケストラの指揮者に着任する。ところが、オーケストラは、団員が生活苦で練習もろくにできず、演奏もボロボロ。

厳しいコンサートマスターが楽団員の一部と対立し、メンバーは3分の2しか残っていない。また、コンサートマスターは新入りの千秋を試すようなことばかり言うような状態が続く。

楽団員を集めるために開いたオーディションでは不思議なことに意見が一致する。その結果、二人の間には、少しずつお互いへの信頼が生まれていく。

しかし、楽団員たちは、生活が苦しく、練習に集中できない。とうとう、仲間内で喧嘩が始まってしまう。ハーモニーが大切であるはずのオーケストラのメンバーがバラバラになっていく。

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千秋は、ある楽団員の娘の言葉で、自分の粘着質な性格を嫌われていることを知り、愕然とする。

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ところが、その言葉とは裏腹に、彼女の親も、他のメンバーもみな寸暇を惜しんで練習に励んでいることをその女の子に教えてもらうのだ。


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その言葉を聞いた千秋の表情が変わる。この瞬間が、この作品の最大のターニングポイントである。

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そして、コンサートの当日、仏頂面のコンサートマスターは、みんなに辛く当たったのは、このオーケストラを昔のように素晴らしい音楽を演奏できるものにしたかっただけなのだと告白する。そして、千秋に強い期待を寄せていることも告げるのだ。

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オーケストラのメンバーは全員、千秋の指揮のもと、心をひとつにし、コンサートは成功に終わる。

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ところが、のだめは、千秋がますます遠くに行ってしまうことに悲しみを感じ、涙を流すのである。

この後、映画では、後編の予告が続くのだが、それはまた次回。




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リー・ダニエルズ監督、『大統領の執事の涙』(2013年) [映画]

大統領の執事の涙 - Wikipedia

奴隷の子として生まれたセシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)が、アイゼンハワーからレーガンに至るまで大統領の執事として仕えながら、彼らから信頼を勝ち取り、黒人の地位向上に貢献するというストーリー。その一方で、白人に媚びへつらう仕事をするように見える父親に対して疑問を抱く息子ルイス(デヴィッド・オイェロウォ)との確執と和解のドラマが展開される。

この映画の最大の魅力は、アメリカの黒人が公民権を獲得するためにどのように戦ってきたかが学べることだろう。しばしば、授業で公民権運動の話をする機会がある教師は(私もその一人)、面倒くさくなったら、この映画を見て歴史の勉強をするようにと言っておくのもよいかもしれない。セシルの息子がフリーダム・ライダーズのバスに乗車中、KKKに襲われるとか、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアと交流があったり、ブラック・パンサーに所属しているという設定はご都合主義的だが、勉強にはなるだろう。

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明らかに、このシーンは、『ミシシッピー・バーニング』(1964年)へのオマージュだ。ほかにも、『招かれざる客』(1967年)や『夜の大捜査線』(1968年)のシドニー・ポワチエについての直接的な言及もある。よく知られている事実だが、ポワチエは、白人に受ける黒人ということで、かつてバッシングを受けていた俳優である。また、キング牧師が「ベトナム人は黒人を差別しない」と言う場面があるが、モハメド・アリ主演の自伝映画『アリ/ザ・グレーテスト』(1977年)でも、同じセリフをアリが話す場面がある。黒人の映画に詳しい人が見れば、他にもいろんなアリュージョンが発見できるかもしれない。

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この映画のもうひとつの魅力は、豪華な俳優陣だ。セシルの母親を演じるマライヤ・キャリー(意外に知られていないことだが、彼女にも黒人の血が混じっている)、セシルの妻を演じるオプラ・ウィンフリー、アイゼンハワー大統領に扮するロビン・ウィリアムズ、ロナルド・レーガン大統領に扮するアラン・リックマン、レーガン大統領夫人に扮するジェーン・フォンダ、そして、ホワイトハウスの同僚の執事に扮するレニー・クラヴィッツだ。このような黒人差別を扱った作品だからこそ、彼らも出演を決めたのだろう。

Last but not least、セシル・ゲインズに扮するフォレスト・ウィテカーは、町山智浩さんによれば、アメリカの鶴瓶師匠とのことだが、なかなかの演技派だ。彼はクリント・イーストウッド監督の『バード』(1988年)では主役のチャーリー・パーカーを演じているし、ニール・ジョーダン監督の『クライング・ゲーム』(1992年)やポール・オースターが脚本を書いた『スモーク』(1995年)にも出演している。



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